知ってそうで知らない?ドラクエ裏設定①シドーがベホマを使える理由
そもそも疑問に思ったことがありませんか?
なんでラスボスなのに回復呪文が使えるのか。
破壊神なのに、真逆ともいえる回復が使えるのか。
少なくとも私、ジンは疑問に思いました。そこでドラクエ大好きの友人に聞いてみたところ、「さあ?」と返されてしまいました。
大のドラクエ好きでも、意外と知らないみたいですね。
なので今回、私ジンが破壊神シドーがベホマを使える理由を徹底解説していきたいと思います。
1.破壊神シドー
10でも出てきましたし、ドラクエタクトでも登場しましたね。
破壊神シドーは、「ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々」のラスボスになります。MMORPGであり、随時ラスボスが更新されていく10を除き、殆どのナンバリングタイトルのラスボスが「王」であるドラクエにおいて、数少ない「神」なるボスです。
破壊を司る邪心であり、悪霊の神々の頂点に君臨する最高神です。
タイトルにある「悪霊の神々」はラスボスである、シドーのことも指しているんですね。
一般的には、悪霊の神々というと「アトラス・バズズ・ベリアル」の三体を指していると認識されていますが(実際ドラクエ10の悪霊の神々のコインはこの3体)厳密にはシドーも含まれているんです。
シドーは破壊神で通っているので、悪霊の神々に含まれているというのは意外と知られていない事実化もしれません。
作中ではハーゴンによって召喚され、ラスボスとして戦うことになりました。
ですがラスボスという、いわゆる諸悪の根源ポジションでありながら、これといった動機が全くない、珍しいタイプのボスなんです。
それもそのはず。シドーはハーゴンに召喚されただけであり、自ら乗り込んできたわけではないからです。
破壊衝動が盛り上がらない、のような一定の感情こそあるようですが、基本的には召喚されたら、その召喚した主の要求に従って破壊を行うだけであり、シドー自身に「あれを破壊しよう」といったような主体性はありません。
なら召喚のやり方や行う主さえ見極めれば安全か、と言われればそうでもありません。
シドー自身は「要求に従ってやる」と形で破壊の力を行使しており、言ってしまえば気まぐれに過ぎないんですね。
ダークドレアムに似ているかもしれません。
そもそも「悪霊」の神々と言われている存在の最高神です。普通に考えれば、人間に御せる存在ではないでしょうし、益をもたらすタイプであるとも考えにくいです。
召喚しないに越したことはない存在であることに変わりはないでしょう。
2.ベホマ
そんなシドーですが、回復呪文の中でも最高レベルの技「ベホマ」が使えるんですね。
一応説明しますと、ベホマはキャラ一体の体力を満タンまで回復する、作中最高レベルの回復呪文になります。
これ以上のものになると、勇者などにしか使えないベホマズンしかありません。
ドラクエ10のエンドコンテンツまでやり込むゲーマーの身からすると、単体の完全回復のベホマよりも、複数人を一気に回復できるベホマラーの方が役立つ機会も多く、強い気もしますが、一応設定上はベホマラーの方が強い感じですね。
体力を回復するボス自体は珍しく無いですが、ベホマを使うボスは中々珍しいです。
しかもシドーはラスボス。もっと言えば破壊神です。
破壊の神であるシドーが、破壊とは相容れなそうな「再生」をイメージできる回復をする技を使う事も、なんだか意味深ですよね。
3.シドーとベホマの繋がり
ではなぜシドーはベホマを使えるのでしょうか。
結論から言います。
「システム上の都合」です。
もっと細かく言いますと、「マシンスペックの問題」です。
ドラクエⅡが発売されたのは1987年。今から約35年ほど前です。
当時は今、私がブログを書いているような薄型の機械も、歩きながら使うことを色々と問題視されている小さな箱も、ありませんでした。
パソコン自体はあったでしょうが、そんな高スペックのものはなかったでしょうね。
そんな時代のマシンスペックでは、どんなに高く設定したくても、HPの上限は255であり、それ以上の体力を設定する事が叶いませんでした。
しかし開発としては、もっとHPを高くして強くして強いボスにしたい。
そんな思惑がありました。
考えに考え抜いた結果、開発は一つの手段に行き当たりました。
「そうだ。HPの上限がこれ以上にできないのなら、回復させて疑似的にHPを増やそう」と。
たとえHP上限が255であろうと、途中で回復を挟めば実際に削らなければならないHPは上限値を超えます。
HPが少なくても、回復することで普通に考えれば受けきれない敵の攻撃を耐えている主人公サイドのように。
言ってしまえば主人公サイド、自分たちプレイヤーサイドがやっていることをボスにやられたわけですね。
そんな「ベホマを使わせる事で擬似的に体力を増やす」という開発の思惑により、シドーはベホマを使えるようになりました。
またベホマ自体もⅡが初登場であったため、認知させるにはいいきっかけになったとも言えます。
トラウマとも言えますがね。
ちなみに、シドーがベホマを使える理由に何かしら明確な理由を求めようとすると、一応考察できなくはないのです。
取扱説明書のベホマの説明には「ホイミ・ベホイミの最も強力なもので、インドでは仏陀(ブッダ:悟りを得た人)のみが使うことができる呪文と言われ、この呪文を唱えると、体力は最大まで回復し、どんな傷ついた体でも、元に戻るでしょう」といったような事が書かれているそうです。私は説明書を持っていないので、ネットで調べた結果のものですが。
そしてシドーの名前の由来となったのは、恐らくインドの宗教の一つである、ヒンドゥー教の最高神「シヴァ」
そう、ベホマの説明にあるインドの宗教であり、悪霊の神々の最高神であるシドーと同じく、シヴァも最高神なんです。
またシヴァは破壊と再生の神とされており、破壊神シドーとの関連性が伺えます。
名前もシヴァとシドーで似ていますよね。
そしてシヴァは「アディヨーギ・シヴァ(第一の修行者)」とも呼ばれているそうで、ベホマの説明にあった悟りを開いた者、ということにも関連性を見出す事ができます。
シドーにベホマを使わせるために付けられた後付けとも考えられますが、システム的に仕方のないことだからと適当にならず、明確な理由付けまでされているのは面白いですね。
4.まとめ
「ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々」のラスボスであり、破壊を司る邪心。
悪霊の神々の頂点に君臨する最高神である、破壊神シドー。
そんなシドーが回復呪文の中でも最高レベルベホマを使える理由は
マシンスペックによる開発の都合でした。
ですがどんな意図があったとしても、プレイヤーサイドのアドバンテージとも言え、最もお世話になる回復呪文が一つ敵の手に渡るだけで「シドーと言えばベホマ」と言えるほどの代名詞、またの名をトラウマとされるほど有名になるのは、面白いものですね。